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zoom RSS フェルメール【牛乳を注ぐ女】

<<   作成日時 : 2007/12/08 14:57   >>

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ヨハネス・フェルメール
Johannes Vermeer
1632-1675


<<牛乳を注ぐ女>>

1657年から1658年ごろ
45.5cm×41cm
油彩・カンヴァス
アムステルダム国立美術館



 2007年、とうとう東京の国立新美術館にやってきたフェルメールの傑作、<<牛乳を注ぐ女>>

 本作品も、フェルメールの魅力のひとつである日常の中に潜む奇跡的に美しくて静謐な一瞬を見事にカンヴァスに閉じ込めている。

 フェルメールは17世紀オランダ絵画の頂点を極める画家の一人として現在はみられているが、画家の生前は、絵筆のみで生計を立てることは難しかったようだ。
 現存する作品は三十数点という寡作の画家であるが、その力量をはじめ、彼特有の優しく美しい日常性や、色彩、構図などによって得られる効果はすばらしく、現在では人々を魅了してやまない画家の一人となっている。
 
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 本作品には、厳格な遠近法や(赤線)、壁に描かれた画鋲のさびの残る穴まで描く、ポワンティエ(点綴法)という技法と、砂入りの絵の具を用いてパンの質感を精巧に再現するといった写実的に見せるための工夫が画家の高度な技量を用いてなされている。


ポワンティエの施されたパン
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 いっぽうで、遠近法上に従えば、水色の線のようになるはずの「長方形のテーブル」を起用することなく、「台形方のテーブル」を画中に用いることで、視覚的にまとまりのある食べ物の配置をつくりだす、といった意匠にも富む作品となっている。

釘の錆びが残る白壁の穴画像
 たとえば、今は光が強く当たっている右半分の白壁には、もとは壁絵がかけられ、下の四角の暖房器具のあたりには洗濯籠らしき物体が描きこまれていたことが研究の結果判明しており、画家がまとまりのある空間を作り出すために、また、色彩のコントラストの効果を高めるためにあえて塗りつぶしたのだと考えられている。


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 鑑賞者の目を惹きつけずにはいられない深く吸い込まれそうな青色は、当時黄金に匹敵される価値をもっていたラピスラズリを砕き、亜麻仁油でとかされたもの。
 画家は兼業で宿屋を経営し、たくさんの子持ちでもあったことを考えると、決して裕福ではなかったにもかかわらず、高価な顔料を使うところに、芸術に対する画家の真摯な態度が伺える。



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 画布の奥に実在するかのような静謐なもうひとつの世界。
 底に流れるのは、ただ、牛乳の「こぽこぽ」という優しい音。

 日常の喧騒や些事とはまったく無縁の優しく美しい「永遠」ということばにふさわしい空間。
 ヒトが求めてやまない、しかし決して現実のものとなることはない理想の日常。


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 フェルメールの<<牛乳を注ぐ女>>は、鑑賞者を限りなく優しい、安心することのできる、時が消えた不思議な空間へいざなってくれる。




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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
りらり様☆久しぶりに、再び遊びにきましたぁ〜☆
美術クラブ会長です。
「フェルメール展」、私は残念ながら当時は仕事忙しくて結局行けませんでした。
この記事読んで、フェルメールの計算された?技法のこと知り、あらためて行けなかったこと残念に思いました。それではまた遊びに来ます!
by美術クラブ会長

追伸:
昨年の「フィラデルフィア展」とても良かったです☆
図録の値段が高かったので買わなかったのですが、やはり買っておけばよかったと少し後悔しています。
by美術クラブ会長
美術クラブ会長
2008/02/10 12:58

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