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zoom RSS 【クロード・ロラン】タルスに上陸するクレオパトラのいる風景

<<   作成日時 : 2007/10/15 19:53   >>

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           クロード・ロラン Claude Lorrain(1600−1682)
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       タルスに上陸するクレオパトラのいる風景
(Paysage avec débarquement de Cléopatre à Tarse)

    119×170cm  油彩・カンヴァス 1643年 
    ルーヴル美術館(パリ)



右下にかすかに描かれるクレオパトラ
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 フランス新古典主義の代表画家の一人、クロード・ロラン

  「古代の物語」を主題に扱いながら、眼を引くのは理想郷と呼ぶにふさわしい情緒的で詩情豊かな風景。
  フランス、イタリアによって確立された絵画のヒエラルキーは「歴史画」(聖書や古代ギリシャ・ローマから主題をとったもの)を最高位とみなし、風景画はそのヒエラルキーの下位に位置したもの。


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  風景を見てどれほどその美しさに感嘆し、画布のなかにとどめ、人々にその美しさを知らしめようとしても(とはいっても、印象派のように戸外で描くことはなかったから、それはやはり画家の「理想郷」なのだけれど)それは「芸術的価値の低い作品」とみなされる。

 そのため、画家は、まるで申し訳のように、絵の前景右に小さくクレオパトラと、彼女を迎えるローマの軍人・政治家のマルクス・アントニウスを描くことで、あくまでこれは「歴史画」の一部であることを示し、「芸術的価値」のある作品として世に送り出したのかもしれない。




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  曖昧でおぼろげな大気の描写、その中を強くまっすぐに照らし出している陽の光。
  ロラン独特のこの美しい光と空気の協演のなかにこのまま「すぅっ」と吸い込まれてしまいそう。

 金箔のような硬質な白金属を思わせる光と、大気のやわらかさが絶妙に混ざり合い、夕焼けを見て感じる、あのまっすぐ心に届く光―適度に切なく哀しく、でも、全体として柔らかく、すべてが許されているような光―がそのまま、まぶしい光の塊となって、こちらを吸い寄せる。


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 こちら側の華奢な印象もうける細かに描かれる船とその穂先とは対照的に、向こうに見えるのはおぼろげな船。
 まるで、海から、あるいは大気から生まれた自然の一部のような香りがする。


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 木々はかすかにゆれていて、柔らかな音を奏でる。

 理想郷と呼ぶにふさわしい情景。
 これほどの調和の取れた、美しい時間と空気の流れがある場所は現実にはないのかもしれない。

 けれど、夕方のふとした瞬間、まるでこの絵の空気をそのまま目の前の空間に解き放ったような、そんな息を呑む美しい瞬間があり、そんなときは、やはり、ロランの光も同時に思い出す。



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