りらりの展示室

アクセスカウンタ

zoom RSS 絵画のコトバ ウォーターハウス 【南のマリアーナ】

<<   作成日時 : 2007/10/01 20:21   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 4

画像

J.M. ウォーターハウス
Jhon William Waterhouse

1849-1917


<<南のマリアーナ>>
 
   1897年ごろ
   114×74cm 
レイトン・ハウス、ロンドン




 メイン・ストリートから離れたロンドンの静かな住宅街にある「レイトン・ハウス」。

 イギリス新古典主義者の代表者のひとりであり、ロイヤルアカデミーの会長も務めたレイトン卿。
 この「レイトン・ハウス」は彼の東方趣味が色濃く味わえる驚くような青緑の「アラブ・ホール」で有名なのだけれど、絵画もバーン・ジョーンズのものをはじめ、19世期中〜後半のよい作品がそろっていた場所。

 そのなかで、偶然発見した私の大好きな作品のひとつが上の作品。
 タイトルはウォーターハウスの<<マリアーナ>>。

ミレイの<<マリアーナ>>画像
部分
 

 色彩が美しいどっしりした重みをもつ、「成熟しきった」肉体をもつミレイの同主題の作品とはまったく趣が違う。

 淡い、薄い白と紫の美しいドレスに包まれたマリアーナの身体は、彼女が本当に恋というものを知っているかどうかを疑いたくなるくらいに幼い。

 
画像

 床に無造作に置かれている手紙は恋人からのものにちがいないのに、この女の子はそれには無頓着で、鏡の中に若く美しい自分の姿を映す。


画像

 そして、その鏡に映るこの表情。
 
 それは、その肢体からは想像もできないほどに官能的で驚かずにはいられない。

 目を引く真っ赤な唇。
 恋人の口づけを思い出しているかのようなその表情と脆さを感じさせるひざまずく姿勢。
 そして、すとん、と腰まで落ちる、長い髪。

 ここには、この主題のオリジナルとなったシェイクスピアの『尺には尺を』の土台はもう消えてしまって、あるのは女性(それも愛らしさ、脆さを強調した)という「性」。


画像

 けれど、いとしい人を思い続けることに集中するあまり、自分がどれほど「危ういほど」見るものを惹きつけているのかはまったく気づかない。
 
 それに、脆さ、はかなさ、守りたいと思わずにはいられないほど魅力を感じようと、こちらのそんな思いは「彼女」には届かないだろう。

 「「他のヒト」の思いなんかいらない。あのヒトだけが恋しくて、欲しくてたまらない」

 幼さがあるからこそ、ストレートな恋心を痛いほど感じてしまう。
 こんな表情ができるくらい、誰かを(たとえそれが苦しくても)愛おしく想うことができたら、と思ってしまった。

 
【関連記事】
ウォーターハウス
http://rirari-exhibition.at.webry.info/200708/article_27.html

ミレイの<<マリアーナ>>
http://rirari-exhibition.at.webry.info/200708/article_33.html

レイトン
http://rirari-exhibition.at.webry.info/200708/article_24.html


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
りらりさん、今晩は。
りらりさんのブログのこの記事読んで、絵画作品と主題の関係についてシェイクスピアも興味湧きました。シェイクスピアは四大悲劇は邦訳で読んだことあるのですが『尺には尺を』は読んだことないため今すぐ私の頭の中に"あああの場面だ"とピンと来なくてごめんなさい。
美術クラブ会長
2007/10/03 22:14
 美術クラブ会長さんは、「悲劇派」なんですね。私は喜劇のほうが実は好きです。(特に12夜の「甘いせつなさ」はもう極上・・・。)この話の「マリアーナ」は、言ってしまえば、婚約者に(結婚寸前で)捨てられてしまって、遠くの農家の小屋にさびしく住むも、いまだに元婚約者のアンジェロという男を愛してやまない女性、という感じです(すみません、簡単で・・・)
りらり
2007/10/04 22:09
りらりさん、今晩は☆
コメントへの丁寧な解説ありがとうございました。
りらりさんの解説読んで作品の感じをつかんだ後にマリアーナを見るとより楽しめました。
蛇足ですが、私がシェイクスピアを読んだ動機は『ハムレット』は例のセリフが有名だからで『リア王』と『マクベス』は話のすじが面白かったのでよく覚えてるのですが『オセロ』はついでに読んだので印象薄いです。読んだ動機はともあれ「悲劇派」ですね(^^)
ハムレット型かドンキホーテ型かという話を国語の先生がよく授業で話してたの覚えてます。
美術クラブ会長
2007/10/05 22:42
こんにちは。
本当に、解説カンタンですみません(><)。イギリス絵画においてシェイクスピアの題材は欠かせないものなので、いずれまた日を改めて更新する「つもり」なので・・・。
 マクベスはなんだか「血の香り」と「魔女の声」が未だにまとわりつく気がして、ちょっと怖く思うと同時に、シェイクスピアのすごさを感じさせます。
 私が喜劇が好きなのは、全体の楽しい雰囲気の中にある「甘い、切ない、恋の哀しみ」が好きだからかもしれません。あとは、「わかりやすさ」でしょうね(笑)
  
りらり
2007/10/06 10:06

コメントする help

ニックネーム
本 文
絵画のコトバ ウォーターハウス 【南のマリアーナ】 りらりの展示室/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる